バニラエアが車椅子の客を這いずりあがらせた?本当に「バニラエア」が悪いのか。ルールとは?

 

車いす客にタラップはい上がらせる バニラ・エアが謝罪

 鹿児島県奄美市奄美空港で今月5日、格安航空会社(LCC)バニラ・エア(本社・成田空港)の関西空港行きの便を利用した半身不随で車いすの男性が、階段式のタラップを腕の力で自力で上らされる事態になっていたことがわかった。バニラ・エアは「不快にさせた」と謝罪。車いすでも搭乗できるように設備を整える。

 男性は大阪府豊中市バリアフリー研究所代表、木島英登(ひでとう)さん(44)。高校時代にラグビーの練習中に脊椎(せきつい)を損傷し、車いすで生活している。木島さんは6月3日に知人5人との旅行のため、車いす関空に向かった。木島さんとバニラ・エアによると、搭乗便はジェット機で、関空には搭乗ブリッジがあるが、奄美空港では降機がタラップになるとして、木島さんは関空の搭乗カウンターでタラップの写真を見せられ、「歩けない人は乗れない」と言われた。木島さんは「同行者の手助けで上り下りする」と伝え、奄美では同行者が車いすの木島さんを担いで、タラップを下りた。

 同5日、今度は関空行きの便に搭乗する際、バニラ・エアから業務委託されている空港職員に「往路で車いすを担いで(タラップを)下りたのは(同社の規則)違反だった」と言われた。その後、「同行者の手伝いのもと、自力で階段昇降をできるなら搭乗できる」と説明された。

 同行者が往路と同様に車いすごと担ごうとしたが、空港職員が制止。木島さんは車いすを降り、階段を背にして17段のタラップの一番下の段に座り、腕の力を使って一段ずつずり上がった。空港職員が「それもだめです」と言ったが、3~4分かけて上り切ったという。

 木島さんは旅行好きで158カ国を訪れ、多くの空港を利用してきたが、連絡なく車いすで行ったり、施設の整っていない空港だったりしても「歩けないことを理由に搭乗を拒否されることはなかった」と話す。

 バニラ・エアはANAホールディングスの傘下で、国内線と国際線各7路線で運航する。奄美空港だけ車いすを持ち上げる施設や階段昇降機がなく、車いすを担いだり、おんぶしたりして上り下りするのは危険なので同社の規則で認めていなかったという。バニラ・エア奄美空港でアシストストレッチャー(座った状態で運ぶ担架)を14日から使用、階段昇降機も29日から導入する。

 同社の松原玲人(あきひと)人事・総務部長は「やり取りする中でお客様が自力で上ることになり、職員は見守るしかなかった。こんな形での搭乗はやるべきでなく、本意ではなかった」とし、同社は木島さんに謝罪。木島さんは「車いすでも心配なく利用できるようにしてほしい」と話している。(朝日新聞

 

 この記事を目にした一瞬、障害のある人を「さらし者」にさせて、どういう神経をしているのか?と思ったものだ。けれど後日、同じ事件のニュースを見ると、格安航空のため、身障者対応の施設も不備で、人員に制限もあるのか「車椅子の方は5営業日までに連絡を」とHPにあったそうだ。だが、このバリアフリー研究所代表、木島英登(ひでとう)さん(44)は、その連絡もせず、この騒動になったとのことだ。

 相当数の旅行を重ねている人なので、格安航空の利点・難点も理解して上で、旅行の予約をしていると考えるのが妥当だろう。では、なぜ、このような騒動になったのか。

 障害を持ち、バリアフリー研究所代表という肩書きを持つ「強み」が、謙虚さを見失わせたのだろうか。「騒動」で「固い岩盤」を砕こうと「企画」したのか。

 ルールとは、(法律を含め)何のためにあるのだろう。ふと思いつくのは、個人の幸せのためというより、絶対多数の平均的幸せのためであろうか。そして、ルールを運用するのは、個人である。個人が、自分のいいように運用しようとすれば、どうとでもなるものでもある。大手の企業は、その規模が大きければ大きいほど、個人の攻撃に過敏になる。それが事実を、見えづらくする、そんな面もなかったか。「自己中の問題児がモンスタクレーマーと化し、マスコミ(大人・親)を利用して大騒ぎする。」そんな、教育現場と同じ匂いも感じないでもない。その背景をしっかり知らなければならない、そんな世の中なのだ。