【警察官暴言】「とことんやってやんぞおめぇ」「お前が乞食になったってかまわねえ」

~記事の裏側も想像しよう。「たかが万引き」そんな態度がなかったか?

 警視庁高井戸署の警察官が万引事件の取り調べで中学生2人に黙秘権を告知せず、「お前の人生終わりだからな」などと、関与を認めるよう迫っていた問題で、録音データなどに基づき、東京弁護士会が10日付の警告書で認定したやり取りは次の通り。

 (事件への関与を否定する供述をした生徒に対し)「発言次第じゃお前の首を取るぞ。てめえ高校なんか行かせねぇぞコラ。学校じゃねぇんだぞここは。おら。高校なんか行かせねえよお前。お前の言い方次第じゃやってやんぞ。とことんやってやんぞおめぇ」

 (「やってないです」という生徒に対し)「じゃあどこでもいって勝負でもしてこいお前は。学校でも高校でも教育委員会でもなんでも話するから。お前高校いかせねえよお前。お前はいかせない。じゃあ。学校行く資格がないお前は。反省がないもんお前。反省が見えない。(中略)どうすんだよ。認めねえのか。じゃあ逮捕状でもなんでもとってやるよ。んじゃ」

 「お前にあの、ごめんなさいという気持ちがあれば、そこはちゃんとくみ取ってあげようって俺は思っている。でもお前にその気持ちがないようであれば、とことん追い込むしかないなあ、ということ。てめえを高校に行かせることはできない」

 (否認をする生徒に対して)「もうお前と話しても時間の無駄か。んじゃあ。時間の無駄ということで、んじゃあこの話を打ち切っちゃっていいか。裁判所でもあのー検察庁でもどこでも俺行ってくるから。どこでも行ってくる。お前には反省もくそもねえよ。てめえさえよければいいのかんじゃあ。鼻水たらして万引きしてくればいいのか、同じクラスメートが。(中略)ばっくれてんじゃねえんだお前。ちゃんと話せよ。時間の無駄だお前」

 (否認をする生徒に対して)「じゃあお前には反省も何もないという風に決断していいのか」

 「お前たちはな、高校受験も控えてるし、大事な時期だから早々にできる。極力小さくできれば穏便に話をまとめてあげたいなというつもりで俺は今日ここに来た。という気持ちをもって俺はここに来た。でも俺はこうやって話をしてみると、知らぬ存ぜぬ、いや関係ないですよ。知りませんよ。反省も何もないんだよ。お前には。反省も何もないんだ。だったら鑑別でも少年院でもどこでもぶちこむしかないのかなって俺は今考えている。高校受験。関係ねぇよ。やむをえない。関係ない。見過ごすわけにいかないよ、んじゃ」

 (もう1人の生徒は認めているという話を出した後に)「向こうは反省、ごめんなさいができている。てめえだけなんだよ。お前おちょくってんのかお前。お前だけだお前。(中略)じゃあお前だけ事件として俺、取り上げるぞ悪いけど。んじゃあ。何回も何回も言っているけど、めんどくせえよもう。お前だけやっちゃって、やっちゃっていいか。(中略)じゃあお前だけ事件としてやるぞ、んじゃ。やるぞ。反省のない奴はとことんやってやるぞ。んじゃあ。そこまで言ってあげてんのにお前。もう頑張る時間は終わったんだよ。終わったの。頑張る時間は終わったの。もうこっからは時間の無駄のタイムに入っているんだよ。ごめんなさいだってよ、あいつは。ごめんなさいだってよ、あいつは」

 (事件への関与を認める意味で「すみません」と言ったのに対し)「てめえ言ったんだろ◯◯(万引事件で事情を聴かれた生徒)にコラ。正直に言えねぇんだったらパクるからな、てめえは。言ってみろ」

 (「言ったかもしれません」と事件への関与を認める趣旨の供述をしたのに対し)「ちっ。正直に言うんだこの野郎。『すいません』は。(中略)頭下げろコラ」

 (「すいませんでした」と何度も謝る生徒に対し)「そういう気持ちがなかったらお前逮捕だかんなてめえ。おーっ。(中略)てめえらを呼んでんのは、お前らが高校生だったら逮捕状もってくんだぞって家に。言うこと聞かねえとバーンだぞお前。お前らが義務教育だからわざわざ呼んでやってんだぞわざわざ。チャンスを与えてやってんだよ。ふざけんなよてめえ。いつまでも時間とらせやがってこの野郎」

 「すいません、俺もうやりませんって言うんだったら、それじゃあお前、これから高校も行かないといけないし、じゃあ何とかしてやるよということで、お前、許してあげるんだぞ。否認すれば否認するで間違いなく牢屋に入れるんだぞお前。わかってんのか。意味分かるか。意味分かるかって聞いてるんだよ」

 「てめぇごときをおめえ、すぐ連れていけるんだぞお前。それを、しないでおいてあげてんだからなこの野郎お前。情けをかけてあげてんだからなお前。そこをお前、よく考えろお前は。ボケ野郎が」

 「我われはお前にチャンスを与えているだけの話だから。お前にチャンスがいらいないんだったら(原文まま)お前逮捕して牢屋に入れ。じゃあ。お前の人生終わりだからな。高校いけねえから」

 「お前が高校行こうが行くまいが知らねえよ、んなの。お前は赤の他人だから。お前がこじきになったってかまわねえ。認めねえからな」

 「認めるんだったら徹底的に認めろよ、こらあ。認めねえんだったら最後まで認めるな。そのかわりお前を牢屋に入れるから」

 「くだらねえことでいつまでもやってんじゃねえぞこの野郎。俺を怒らせんじゃねぇぞ。この野郎いつまでも。てめえはこれから全部書いて親にもバンと言って、もう二度としませんから許してくださいって言わない限りは高校に行けねぇから」

産経新聞 13:39)

 

 言葉・記事だけを見れば、「なんでそんなに興奮しているの?」とか、「少年(被疑者)にこんな言葉を投げつけて」とか思うし、そんな趣旨の記事なのだろう。

 だが、である。この少年はこの前段まで、いや、この問答の途中まで、自分の非を認めていない。「黙秘権」である。まあ、憲法で保障された正当な権利ではある。

 だが万引きも、正当な犯罪である。軽犯罪かもしれないが、その軽犯罪で、小さな店が倒産したり、店主が自殺したりする悲劇が生まれてもいる。

 それに対し、この生徒は、高校に知られたら、停学及び退学になるなどの事情から、長い時間、それを認めなかったのだろう。また、当初は、「たかが万引き」と見くびり、罰せられる行為との意識もなく、そこには「大人」そのものを斜めに見て馬鹿にしている、そんな態度があったのではないか。そういう意識が「万引き」に走る高校生などには、ある。それが現実である。退学や停学を恐れるなら、そのような「働く者」「働く行為」を馬鹿にした行為・行動を取るべきではない。取ってしまった行為の代償を払わなければならないのは、すぐに「大人」の世界に入らなければならない年代の人間として、当然の事ではないか。

 警官の仕事は雑多で忙しい。その隙間での「事件」であり、多少疲れていらだってもいただろう。もしかしたら、自分の親や知人が「万引きゆえの悲劇」の被害者であったかもしれない。人が激怒する。そこには、いろいろな「事情」があるのである。

 少なくとも、この警官を責めるより、軽い気持ちで、遊び感覚で「万引き」に走る「高校生」たちをこそ叱責すべきで、そう言う意味では、怒るべき周囲の「大人の代弁者」として、この警官は、この「高校生」の前に立ったのではないか。

 正しい言葉を使うべき立場ではある。だが、その建前の前に、そうできなかった「事情」を、今はやりの「忖度」、「想像」すべきなのかも知れない。記事には書けないその裏側を。