生きてきた証~2年間のつぶやき8

~子育て・悩み・生き方~2年間の証をまとめてみた(7)

  子供が生まれ、大きくなり、親の心配を乗り越え、中学・高校と無事終わりを告げようとしている。その2年間の足跡を、色々なところでつぶやいてきた。生きてきた証として、記してみたい。

 乃南アサの「シャボン玉」に出会い、涙が止まらない〉

 字中毒?家に帰ったら 、何か活字に触れていないと気が済まない。多読。どうでもいい本。新書・啓発本・推理小説・純文学。・・・そんな中、久々にとても心潤う「名作」に出会った。乃南アサの「シャボン玉」。あらすじは、「女性や老人だけを狙った通り魔や強盗傷害を繰り返し、自暴自棄な生活をしていた若者が宮崎県の山深い村で老婆と出会う。若者を彼女の孫と勘違いした村人達はあれこれと世話を焼き、虐待を受け自堕落で猛り狂った心を優しく包み込む・・。」すべてを知っているお婆さん。最後に若者が言う。「なあ、ばあちゃん。」「なん」「あのさ・・・当分・・・死なねえ?」「死なねえで、いてくれねかな。あのー俺が戻ってくるまで」「帰ってくる、とね。」「来るよ、ー約束する。」「ーもう、そげに長うは待てんよ。何しろ、婆ちゃんになっちゃからね」「待っててくれよ。・・・俺、婆ちゃんの飯、また食いたいんだからさ。絶対。」「待っちょる。待っちょる。婆ちゃんは、ずうっと待っちょるよ。ここに、こうして、おる」。そうして、若者は警察へ自首。婆ちゃんは、帰ってくることを信じ、生きる。心の中で、涙が止...まらない、そんな感じ。年を重ね、心のヒダが固くなり、人生の終着点をすら想像する昨今。若いときなら、こんな人達に囲まれているとしたなら・・・とか。そんなに世の中甘くない?ずっと思ってきた、そう思った。こんなふうな人(婆ちゃん)になりたかったんだと。赤の他人の若者と、自分の子供(末っ子)に裏切れ続けた老婆と。気がつけば心の「親子」として太い強い絆が出来ている。「ぼう、おまえは、本当に良い子だ」。一瞬、揺らいで見える二人の絆。でも、偶然の出来事の出会いが、二人を引き戻す。う~ん。そんな「親子関係」を紡げたら、自分の人生も、自分が生きてきた「意味」も報われるか、なんて。年を取り、どこか「子供に還る」、そんな時があるなら、こんな「過疎の村」で過ごしたい、そんな想いを生む、名作である。・・・「生きていれば」。じゃないけれど、「頑張ろう、明日」も。そう思わせる作品だった。そして、それを今、娘が「勉強」の合間に読んでいる。これ以上の喜びは、ない。