「いじめが自殺の主原因」広島・中3転落死で最終報告書

~何の権限もないなかで責任をとらされる無力感。時の流れるままにしかできない。

 広島市佐伯区の市立中学校で昨年7月、3年生の女子生徒が校舎から転落死した問題で、市教委が設置した第三者組織「市いじめ防止対策推進審議会」(会長=林孝・広島大大学院教授)は28日、最終報告書をまとめ、「いじめが自殺の主な原因と推認する」と結論付けた。報告書によると、小学校低学年から暴言や嫌がらせを受け始め、中学でエスカレート。3年時には「汚い物扱い」が常態化し、暴言をはじめ、小石を投げられたり傘でたたかれたりすることもあったという。クラス替えで仲の良い友人と離れたこともあり、「孤立感や自分に対する無価値感を強め、自殺に至った」とした。 さらに、中学校側が「いじめ」と認知できなかった点を問題視。問題行動を繰り返す他の生徒たちへの指導に意識が集中していたことなどを挙げ、「被害側の視点に立っておらず、早期に対処する姿勢に欠けていた」と批判した。

朝日新聞 東郷隆

 

 「いじめ」を見つけ、なくす為の、何の権限も権利もない。踏み込みすぎて調べれば、人権侵害と訴えられ、集団の規律を正し、そのために距離感を取り、集団が正常化すれば、「指導が厳しすぎる」と声を上げる保護者。そうして、集団は暴徒化する。その危険性を、今の若い教師・中間層の教師は肌で感じたり、見つめてこず、危機感はない。一端、事が起こり、「いじめは犯罪」という法律ができても、警察はじめ周囲の期間は「調査した」という実績づくりのみ行い、批判を恐れてそれ以上踏み込まない。lこれが昔からの慣習である。

 昨年度から今年度まで、2年続けて一人の生徒への「いじめ」らしき事案が続いた。「らしき」とうのは、外側から見ると、みな、いい子の集団で、幾人か「逸脱する生徒」はいるが、その子であるという確証もないまま、ただ「想像し」、「解決策」を数時間も考える徒労の時間が続いた。その間、毎日のように、その生徒の自宅や周辺の同学年の生徒宅へ送られる脅迫(体育祭楽しみだね・・・刺してやるよ。S○○の時の写真ばらまくよ。クソ婆もね~。せんこう何が出来る(笑))や誹謗中傷の手紙が永遠と続く。保護者会は、「何かしないんですか」「学年集会に何の意味が?」「犯人は分かったんですか?」などのつるし上げも、当然起こる。

 今年度、その中の保護者も巻きこんで「被害届」をだした。脅迫状などの指紋もとり、学校の中で(生徒の心情を鑑みるという警察の提案)、昨年からの、被害生徒と同じ部活動にいた生徒の事情聴取・指紋捺印までさせた。さすがに、指紋の件は、微細に渡り説明を「警察と調整」して行った。

 結果、たくさんの事件があるので、指紋照合はまだだいぶ先です、という電話のみ。他の情報は全く学校には知らされない。それから数ヶ月たち、保護者から、指紋の件はどうなりましたか?という半ば糾合の問い合わせも出てきた。その間、続く脅迫状・誹謗中傷・合成写真のラインなどによるバラマキが続いた。手紙は、学校と保護者が、一切受け取らないことを郵便局に表明。手元に届くことは無くなった。指紋の件は・・・結局、「捜査はこれ以上行わない」という一方的な連絡のみで終了。捜査は・・・パトカーでたまあに周囲を回って、それだけ。捜査は、皆無である。では、なんのために「指紋」を捺印させたのか。「事故があった時」の為の警察の責任逃れ、である。

 これらの中で、現場に何ができるのか。何もできないのである。踏み込みすぎていいことがない。疲れて、非難されて終わり。黙って、軽くつきあい、見ているだけ。当然、問題生徒もそれを見、学習する。緊張感を持つ必要もなく、ますます生徒が見えなくなる。問題行動を繰り返す他の生徒たちへの指導に意識が集中し、「いじめ」と認知できなかったのも、ある意味当然なのである。生徒が教師と利害関係を感じない、そんな中で、教師の指示は、ほぼ無意味になる、そんな時が生まれ得る。

 担任や学年だけを「訴えても」、無意味なのである。学校全体、いや警察も含めて責任を問わなければ。だからこそ、学校は、いじめ事案は保護者に警察に被害届を出させるべきであり、警察の、担当官の氏名も含め管理し、全体で「責任」をとらせる。それぐらいでなければ、荒れた学校の「立て直し」や深刻ないじめ問題の「解決」は、はっきり言って無理なのである。

 学校現場に漂う空気。それは、「担任するだけ損」。子供の集団原理を学ばない「教師」や何度も採用試験に受からない臨時採用の人(北海道では、3年以上不合格の人に特別枠で無試験で指導案だけ書かせ、採用にする制度が今年からがはじまり、不合格の人の50パーセントを合格にする暴挙を始めた)だけが担任を希望する現状である。

 また、保護者は、誰が不合格を続ける臨時採用の先生なのか、知ることができない。・・・子を持つ親として、とても怖い。そんな現実が、今、ある。