思春期不定期愁訴?頑張って学校おいで。

リストカット不登校、家庭不和?、担任の無関心、お門違いのスクールカウンセラー。重なる闇の五重奏。田中真子とのたわいない会話から。

 「今度は月曜日。きついなあ」「おれも、そう」「ええ~(笑)」「38度ぐらいでたらなあ、って思うこと結構あるねん。」「うん」「月曜日、朝からこいよ、待ってるぞ」「(笑って)うん。」。

 田中真子ちゃん(中2 仮名)。4月まで普通に登校。ただ、昨年も不登校傾向あり。家庭訪問時は、放課後、学級目標づくりで数人の仲間?と1~2時間残り作業。(メインは他の2~3名 そばで少し参加しながら微笑んでいる。)他に、根拠はないがリスカもしているかも?と噂されている。

 担任は部活大好き人間で、あまり個々の生徒の問題に接すること・気にすることをしない50代。彼女が5月から朝登校できず、3校時から登校するようになっても、特に家庭訪問するわけではなく(部活あるし、まあ学校きてるし)、声をかけるわけでもない。副担である自分は、学級目標づくり時の淡い笑顔が気になり、その後3日間、その手伝いに、学級に顔を出し、「くだらないこと」や家庭学習の仕方、部活の愚痴などただ聞いていた。

 全然朝からこれなくなっていたある日、養護教員に、「田中、朝、こないんだよな、ちょっと話しにいくかな」と聞いたら、「あの子、自分の領域に入り込まれるの嫌だというから」「ふうん」。・・・まあ、それで終わっておけば、楽な仕事なんだけど。それができない性分だからしたかがない。

 3時間目後の休み、田中を見つけ、「朝、こいや」「だってこれないいだもん」「腹痛いのか」

「そんなんじゃなく」。「わかった、話聞いてやる」「ええ~」。ここで、取り巻きの2人(彼女は友達と思っている?)が、「田中、先生に何も話さないよお(笑)」。

・・・「真子は話すよ。だって、4月に話したとき、俺にはすべてあからさまに話すって約束したし。」「ええ~してないよ。」「いや、した。おれの心のメモ帳に書いてあるし。」(もちろん嘘である。)ここで、チャイム。互いに笑いながら別れる。

 昼休み、予告通り田中を捜し、話しに行く。手で「こいこい」をすると、泣き笑いしながら「ほらー」。そうして、取り巻きと来る。色々話すが、取り巻きが、明るくふるまう振りしてそらす、ごまかす、邪魔する。・・・彼女らを無視して、話し続ける。

「学級いやか」「ううん。学級は楽しいよ」(取り巻きが側にいる)。「だったら来い」「だってこれないんだ」「朝起きれないか、飯食べれないか」「そんなことない」

「ふ~ん。だったら来い」「行きたいけど行けないんだ」「なぜ?」「家の・・・問題か?」(今思えば、よく踏み込んだものだ。)「家の雰囲気もやだけど、学校よりいいし」「うん」・・・「担任が嫌なんだ。」

 困った。予想はしていたけれど、直球は予想しなかった。「ふ~ん、でも、なあ、世の中に、嫌な奴なんていっぱいいるし、イケメンが女を騙すなんてざらに、なあ」とふざけた雰囲気で、少し逃げる。

「SC(スクール)カウンセラーとか嫌なんだ。全然希望していないのに、勝手に予約入れられて・・・」。そう言えば、うちのSC、いろんな肩書きついたせいか、妙に積極的で、教師や担任を超えて、頭ごなしに相談業務?に勤しむ。担任も管理職も、めんどくさいからさせとく。結局、何かあったとき責任とるのは、彼女じゃないのになあ。

「なるほど、その件はわかった。担任じゃなくとも、そのSCのなんだか?おばさんに会うとき断れば良いんじゃない?私は希望しませんて。」「うん」。

「とりあえず、学校こいや。おまえ、俺の授業、4月の中頃からまともに受けてないべ。おまえの顔見ないと、なんだか寂しいしな。」「ええ~うそ~」「本当だ」「絶対嘘だ~」(笑って)。取り巻きの前で敢えて演じてみた「あほな素顔」。 

 ここで時間終了。数時間後、放課後、彼女に会ったときの会話が最初の会話である。

 担任の無関心。更新制度のないSCの暴走、それを知らない、止めない管理職。まあ、大人同士の喧嘩ほど面倒くさく、修復できないものはないから、わからんではないが。それに、取り巻きの、自分が構ってほしいがための「友達ごっこ」という監視?保護者の養育意志の有無。本人の未成熟ゆえの甘え。まあ、生意気じゃないのなら甘えさせても良いんだけれど。幾重もの「闇のスパイラル」が、彼女を苦しめている。それでも、思う。立ち直るのは彼女自身の力しかない。周りは、構って、笑って、側にいて。それしかないのだ。頑張れ、田中。