貴乃花親方、退職届の理由「協会の有形無形の重圧」

~予想できた結末。人生かけて邁進した相撲道。命を大切にして欲しい。

 大相撲の貴乃花親方(46=元横綱)が25日夕方、日本相撲協会に退職届を提出後、都内で引退記者会見を開いた。貴乃花親方は「私貴乃花光司は、年寄を引退する旨の届けを提出いたしました」と語った。
その理由として、「3月9日に、貴ノ岩への暴力問題について、真実を隠さず追及したいと内閣府に告発状を提出しました。その後、弟子の不祥事もあり(告発状を)取り下げましたが、告発状に何ら真実に反することはない。先般の降格処分を受け、一兵卒として0からスタートし力士の指導、監督、審判業務を粛々と行ってきましたが、協会から外部の見解を示したとする書面が届き、告発状が事実無根のものと記されていた」と語った。
その上で「事実無根ではないと書面で説明したが、それを認めないと廃業せざるを得ないという有形無形の要請を受けた。また理事会で一門に所属しない親方は部屋を持てないと決まった。真実を曲げて認めることが私には出来ません」と、貴ノ岩の暴力問題に対し、告発状を出したことに関する遺恨、協会の重圧が引退の最大の要因だと語った。
貴乃花親方は「力士は相撲を続けることが出来ず、健全な鍛錬が出来ない。私は年寄を引退させていただくのが最善と苦渋の選択をした」と語った。
(日刊スポーツ 9/25(火) 17:15配信)

 

 朝、ネットニュースで「今まで応援してくれてありがとうございました」という言葉を見て、「そうか」と思った。「そうするしかなくなったのだな」と。40代以下の人はわからないかもしれないが、それまで、相撲は「親子で見る」スポーツだった。そうして、時代の流れか、相撲人気も落ちる時がきて、若貴時代まで凋落の一途をたどる。それだけに、若乃花貴乃花が、中学卒業とともに、父の貴乃花の背中を追い、相撲界に身を投げ、一生をかける「博打」に出たとき、それまで、相撲に関心のない人達も、その兄弟を応援したのだ。相撲を国技だと「協会」の人達が言うのなら、その国技を救ったのが、兄の若乃花であり、弟の貴乃花だった。少なくとも、協会のトップに座る理事長の保志(北勝海)や大乃国ではなかった。少なくとも引退後、八百長騒動にゆれなかった、貴乃花は。

 今回の騒動の発端は、横綱日馬富士の暴行問題を貴乃花が警察に届け出た事であり、その仕事ぶりや組織の膿うんぬんではなかった。上手に話がすり替えられ、袋小路に追いつめられた様は、今のブラック会社問題と似ている。しかも、そのブラック会社の面々は、自分の既得権益(何十億といわれる収入と税金(公益法人))を守るために大きな力を持っている。そこから「脅され」、「嘘をついたといえ、言わなければ首だ」と言われ続け、どれだけ消耗しただろう。

 仕事としては、短時間で関取を3人も出し、十分な能力を証明しているのに。

 自分が理事を外され、その後、行われた理事会で、急に、「すべての親方は一門のいずれかに所属しなければならない旨の取り決めがなされた」が、貴乃花親方の場合は「私は一門に入る条件として、告発の内容は事実無根な理由に基づいてなされたものとして認めるようにとの要請を受け続けております」と発表した。組織に都合の悪い「告発」は、「つぶすぞ」という脅し前に、告発という形で対抗した形か。だが、果たして、マスコミは味方につくか?

 大人のいじめを、大概、大人は見て見ぬふりをする。心配なのは、貴乃花は、相撲しか知らない。社会に出たことがない。人間の軋轢も、ここで初めて知った。彼から「相撲」をとったら何が残るか?何も残らないと感じた時の末路は、大概同じだ。命を大切に、人生を闘って欲しい。それにしても、貴乃花一門を立ち上げた時、仲間ずらした寺尾はじめ、相撲協会の理事に貴乃花の代わりになった相撲取り(現役時代は前頭の下っ端)は、いったどんな顔をしてこれから仕事をするのだろう?まあ、それだけしか、いやその覚悟すらなかったのだろう。だから現役時代は、「それなり」の活躍しか出来なかったのだ。その人達が、弟子の前で、何を伝えていけるというのか。

 相撲界に多大な貢献をした物だけに与えられる一代年寄り。過去4人しか認められていない横綱が、これで全員、協会から脱退している。他にも、横綱で名を残して最後には協会から出て行った人達がたくさんいる。・・・男の嫉妬と金もうけか。

 相撲の国技云々はどうでもいいが、公益法人は取り上げた方がいい。なんで、こんな集団に税金をかけなければならないのか。みんなで声をあげるべきだ。社会・会社と個人の関係、不正があっても長いものにまかれなければいけない日本の姿か。

 「何か声に出すとき」、昔も今も市井の人間は、大きな覚悟が必要なのだという事を感じさせ、我がことのようにこの会見を聞いていた。