「死にたい」「リスカ」したいとうそぶく生徒の悲しさ〈2〉

~その翌日、彼女らの表情は。そして、私(自分)は何をしてきたか。「奴隷」

 その翌日。彼女らはどんな様子だったか?相変わらず落ち着かないが、なぜか元気。休みがちな、彼女らの「新しい仲間」も、なぜか全員登校。そう今日は、秋休み前の最後の登校日。

 授業中、私が行くまでうろちょろしている彼女ら。不思議な会話。

「あの件(多分、カッターの件)、学年の先生、全員知られたさ。きっと」

 その顔は、想像の、あるいは経験の中の「淀んだ、暗い」ものではなく「超明るい元気な」ものだった。なぜ?え?。若い同僚に期待しないでつぶやいた。その同僚は、「自分が特別になれたからでない?めんど~」。そうなのだ。「見て見て症候群」だから。だとしたら、まあ、若い女性教員や男性教員の、「聞くだけ」「大人の心配するふり」もあながち悪くない。

 ちなみに、自分は、彼女らに何をしてきたか?定期試験に「目標点」を勝手に決め、皆の前でつぶやきながら、それを下回った場合、「俺の奴隷」、と笑って宣告。「ええ、奴隷って何するの?」「内緒。でも、君らに拒否権はないよ。嫌だったら勉強しな」。今年は、教員人生2○年の中で3回目の副担として、この学年に入ったので、ある程度「自由」にできるのだ。えてして、彼女らは、全員不合格。まあね、勉強する意欲も、家庭環境もないのだ。・・・・そこで、何をしたか、させたか。

 それぞれの段階に相応しいレベルの国語の「問題集」を手作りし、その表紙に「約束」を書いた。例えば、①毎日1ページは取り組む。②家庭学習としてみんなと同様に朝、必ず提出。③学校を出来るだけ休まない。④明日の未来・笑顔を信じて、真剣に授業を受ける、など。そして、毎日、間違える部分の「原因」を確かめ、添削・コメントを書く。(最初は、彼女らだけだったものが、今や各クラス合計40数名になり、空き時間を1時間はつぶす羽目になっているが)

 心が安定しないので、「大ボス」(ボスというほどかわいげがなくもないが)は、ほぼ出した。後半、グレて出さなくなり、意識的に「無視」してたが、今日、「約束守れ」「何?」「問題!」「ああ」。の会話のあと、放課後、「先生、なんで3くれないの?」「頑張らないからだ」、と普通の会話が成立した。まあ、そいつとは、まだ、つながれるか、というところ。

 やはり、「お節介」や「偽カウンセリング」もいいが、学校は、勉強で切れてしまうと、やはり「面白くない」し「居場所」がなくなる。いかに、「勉強で構ってやるか」をもう少し考えた方がいい。それが、長年、多くの失敗も重ねた年長者の結論だ。意外と、今の教師は、「教える」事の力を軽視している人が多い気がする。これも、3年のスパンで学校が「荒れる」、一つの要因であると考えてる。

 教師は親でも恋人でも神様でもない。最終的には、勉強を教えるしかないのだ。

そんな事、考えていたら、新しい「めんどくさい女生徒」から手紙が渡される。その手紙には「家庭がストレス。新たな父親が出現するかもしれない。私、捨てられる?A、B、C(リスカ軍団)だけじゃない。」 

 ~「う~ん・・・・。疲れる!」